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マネジメント
規模も複雑さも自由度も高まったソフトウェア開発や保守、運用などの作業は、担当者の技術、スキルだけで実現するものではありません。小規模対応等条件さえそろえば一時的に個人対応が成果に結びつくこともあるかもしれませんが、中長期的に欲しい成果を出し続けるためにもマネジメントは不可欠です。
特に開発プロジェクトは非常にリスキーであり、成功させる、というよりは失敗しない、失敗させないためのマネジメントが求められています。
 
まずは、ADAMOSに掲載してきた様々なTIPSの中からマネジメントに関係する話題を紹介しながら、時間をかけてまとめ上げていきます。
 
28.マネジメントされたようにマネジメントする
子供は素直だと言います。素直とにもレベルがありまして、故松下幸之助さんのように素直さの達人になると「自分のしっかりしたポリシーがありつつ、他者の言うことをきちんと聞き、確かにそうだなぁ・・・と思うところを逃さずきちんと受け取る」ことができるようです。
つまり自分の中にきちんとした物差し(=尺度)があるわけです。
その物差しは、人生の中で様々な経験をして徐々に構築していくモノでしょう。
子供の素直さは違います。
経験がなく、まっさらな心の中には「良いか悪いか?」の判断基準がなく、大人がやっていることをただ受け売りで「マネ」します。
このことを世間一般では「素直」と呼んでいて、松下幸之助さんの素直とは大きく異なります。
つまり物差しがないので、良いことも悪いことも他者がやっていることは無条件に受け入れてしまうわけです。(=盲目的)
大人であっても、自分の知らないこと、初めてのことに対しては「まっさらな状態」ですから、子供ほどではないにせよ「盲目的」になりがちですね。私が ISO9000の対応を始めたとき、コンサルの言うことをいちいち「そうなんだぁ」と疑問も持たずに受け取っていましたね。(^o^)

また、人間はその場の環境にベストマッチするように自分(の位置)を持っていくそうです。
「快適さ」よりも、「慣れ」を好みます。
ですから、自分がはじめての場所にいるときには、その場の雰囲気を肌で感じ取り、その場で自分が生きていけるように行動します。
最近企業内での問題隠し、不正等が明るみに出ていますが、そのようなことは「ダメなことだ」と大人なら誰もが知っています。
批判もするでしょう。
しかし、問題隠しや不正をすることが慣習になっている企業に入った大人は、当初困惑こそすれ徐々にその色に染まっていきます。
そのことを「問題だ!」と発言すると、自分の居場所がなくなる(=生きていけなくなる)ことを知っているからです。
そうやって「慣れ」てしまうと、その後はなかなか変えられません。
一番快適、最適なのが「問題を隠さない」ことだとわかっていても、「問題隠しの文化」に慣れてしまうと、その慣れからは出てこようとしなくなってしまいます。
「いい大人が、そんなこと・・・」とよく言いますが、誰にでもそのようなことはあり得ます。(人間のサガですからね)

ちょっと前置きが長くなりましたが、以上2つの要因から「マネジメント」を考えるとき、出てくる答えが表題にある「マネジメントされたようにマネジメントする」になります。
つまり、ある上司が行う(良いか悪いか分からない)マネジメント配下で働いた要員が成長して、マネジメントする立場になったときに取るマネジメントスタイルは、自分がそれまで受けてきたマネジメントスタイルになってしまう傾向が強い ということです。
自分が受けてきたマネジメントが、ある一人の上司によるものの場合はなおさらこの傾向が強くなります。
マネジメントに関して「まっさらな」状態の要員にとっては、受けるマネジメントだけが教本・教科書なわけですね。
他と比較するモノがない場合はなおさら「素直に、盲目的に」受け取ってしまうでしょう。「マネジメントってそうやるのかぁ・・・」ってね。
そして、そのマネジメントスタイルに「慣れ」てしまうので、そのスタイルを変えられない可能性が高いでしょう。
悪いマネジメントを受けてきた要員は、「俺もそうやってひどい目に遭ってきたんだ。今度はおまえらの番だ!」なんてどっかの旧いしきたりの部活動みたいな状態にもなりがちです。(おーこわっ)

このように、上司→部下・・・・部下が成長して管理職になって→新しい部下 ・・・・と時間をかけて「バトンリレー」を続けるのです。
「良いマネジメント」も「悪いマネジメント」もこうやってどんどん引き継がれていきます。
一般に「悪いマネジメント」の方が多い(完璧な人はいませんから(^^))でしょうから、その連鎖をどこかで断ち切らないと、永遠に続いていきます。
締め付けることが要員を働かす一番の方法だ! 問題が出たら怒るにいいだけ怒る! 処罰だけが要員を手なずける手段だ! 仕事はあいつにすべて任せてあるから俺はまったく関与しない! 
なんていうことになっていませんか?
往々にして、部下達が「こうなって欲しい」という状態に持っていくために取られるマネジメント手段が「まったく逆」になっていることが多いのでよく注意して考えてみて下さいね。他者、他社の事例、書籍による研究等、異文化に触れる機会を増やしてみて下さい。自分達の状態と比較できる環境を作るのも大事です。

皆さんのマネジメントスタイルはどうでしょうか?
良い慣習が引き継がれているでしょうか?
そして悪い慣習を断ち切る努力をしているでしょうか?

 

101.木内監督にマネジメントの本質を見た
夏の甲子園で優勝した常総学院の木内幸雄監督は、以前から注目していました。
72歳となった夏の大会で引退となりましたが、その人柄だけでなく、普段の言動、行動には「組織のマネジメント」の本質を見た気がしました。
インタビューで私なりに聞き取った内容の抜粋です。(記述内容は私の記憶であり、そのままの表現ではありません)

・私(監督)の役目は、子供たち(部下、組織の構成要員)個々の特性、あるいは全体の雰囲気や状態を見て、今どうするのかを決めること。
・私にとっての甲子園なんてどうでもよいこと。甲子園(部下の活躍の場)とは子供たちを大人にする教育の場であり、いかに気持ちよくプレーさせ、よい結果を経験させるかが私の役目。たくさんの子供たちがこの甲子園で大人になってくれました。甲子園はすばらしい子供の教育の場です。
・私がきらいのは、「自分勝手な野球」。自分のことだけを考えたプレーがあれば思い切り叱り付ける。プロは別として「for the team」が高校野球という集団競技で一番大事な鉄則であり、そのなかで各自が自分の役割を果たしつつ、チームとして結果を出すのかが大事。そのようなことを通じて各自が「自分」というものを作り出すことが基本。道から外れない子供たちとなって成長していくことがうれしい

・どうして高校野球の監督をやり続けたかといえば、「(目指す目標を果たすために)やったらやっただけ成果が出るから」。サラリーマン社会ではそうはいかないでしょう。

これといったスター選手もいない、決勝戦で勝つまで本塁打なしで優勝した常総学院ですが、子供(部下)を見抜き、その力を信じて、100%、いや120%のパフォーマンスを発揮させ、それをチームのパフォーマンスに結びつける木内監督だったからできたことなのではないでしょうか。

 

・実働部隊(=現場)が働きやすい環境を設定・維持するのが「マネジメント」
マネジメントは決して「チェックする」「問題を出すヤツをふるい落とす」「取り締まる」「ルールを強制的に守らせる」ことではありません。
「失敗を許容する」「問題があれば対応策を共に考え、適切に対処する」「必要なリソース等をできるだけ事前に提供する」により実働部隊が働きやすい環境を設定・維持するのがマネジメントの本質です。
目先の生産性や、売上やお金の勘定ばかりに気を取られ、無理な指示命令や余計な制約条件の強制で結局現場を身動きのとれない状態に追い込んでいるようでは、本当に必要な”マネジメント”出来ていないと見て良いでしょう。
現場の要員が「やる気になる」そして「気持ちよく作業できる」環境を整えるのが管理者の役割です。
これが出来ていない管理者が多すぎる! と感じているものの、自分に出来るかどうかは不明です。

 

・判断の先送り

業務運営上で必要な何かの判断を求めたときに、判断を先送りにする経営者・管理者・上司は多くの場合役割を果たしていないと言えます。
一見「不適切な判断をする」方が問題がありそうな気がしますが、判断しなければならない時点で、現状で把握している情報などから判断を下すことが求められる行動です。
そしてもしその後”以前に下した判断が不適切だった”と察知した時点で方針転換ができればよいのです。
(もちろん判断が不適切だったと判明しても方針転換しないのは論外です)

判断が必要なときに判断せずに先送りするとどうなるか。
その件に関して何も行動に移すことができなくなり、後日判断が下された時に、判断が遅延した分を穴埋めする余計な作業が発生します。
これはリスクに早めの処置を施すと少ない対応で済む、対応が遅れるほど多くの被害が出るのと同じことです。
判断が遅れた場合、その余計な作業について意思決定者(判断する方)は何も対応することはなく、プロジェクトや業務運営側が一方的に負担することになります。
このように意思決定者が責任を果たしていないケース(その穴埋めを部下がしょうがなくやっていること)が意外にも多いのではないでしょうか。

 

・プロジェクトメンバーにも「全体」を理解させろ
プロジェクトメンバーの力をプロジェクト全体に生かしたければ、メンバー全員(最低限主要なメンバー)にプロジェクト計画の全体像(シナリオ)を理解させる必要があるはずです。各メンバーが行う作業は「分業化」されていることが多く、他作業とのつながりを意識することなくして、自分の持ち分の仕事を問題なく、いや適切にやり遂げることができないからです。
もし他作業とのつながりや、それらが全体シナリオのどの部分に位置づけられているかを理解できていれば、いろいろな工夫や、考慮するべき点が見えてくるはずです。「ここはこうしたほうがよい」「そちらがそのようにやっているなら、こっちはこうする必要がある」「この作業とあの作業は統合できる」「この作業をやるのが先だ」などの現場の意見を取り込めれば、マネージャの負荷が減り、かつ皆がやる気を出してくれることになるでしょう。(自分の意見が役立つことが認められれば)
「1+1=2」のような人数分だけの力で作業を進めるより、メンバーの力を集約して「1+1=2+α」となるようにコントロールするのもマネージャの大事な役割です。そのためには、皆をグイグイ引っ張る積極性と、反面メンバーから出た有効な意見を素直に聞き入れる器量を持ち合わせていなければらないでしょう。

 

※上記の”プロジェクト”を”部署”とか”業務”などに置き換えても成立する内容だと思います。